まず、アンコール・ワットですが、12世紀の前半にソリアバルマン2世という王様が造ったヒンドゥー教の寺院で、寺院を中心として街ができていたとされます。
ちなみに、アンコールとは「街」、ワットとは「寺院」のことだそうです。
ヒンドゥー教には、シヴァ神(破壊神)、ヴシュヌ神(維持神)、ブラフマー神(創造神)の3大神があり、アンコール・ワットを造ったソリアバルマン2世は、このうちの太陽の神でもあるヴシュヌ神を崇拝していて、自分の名前も「太陽(ソリア)の守護者(バルマン)」となっているそうです。
次に、アンコール・トムですが、ここは、アンコール・ワットから北に1.5キロのところにあり、巨大な観音菩薩像があるところとして有名です。
アンコール・トムとは、「大きな都」という意味で、その名の通り、一辺が3キロの正方形の広大な都だったようです。
観光写真に出てくる観音菩薩像群は、この敷地の真ん中にある「バイヨン」という寺院で見ることができます。
小生は、バイヨンの印象が強かったのか、アンコール・トム=バイヨン寺院の観音菩薩遺跡群と勘違いして「小さい」と申しましたが、トムには、バイヨン寺院のほかに「ライ王のテラス」や「像のテラス」「バブーオン」など有名な遺跡が散らばっているようです。
バイヨン寺院は、シヴァ神の彫刻が多数あることからヒンドゥー教の寺院のように思いますが、遺跡を調査したところ、寺院の中央からヒンドゥー教の水の神「ナーガ」に守られた仏像が出てきたことから、仏教寺院であるとされています。
(現在のカンボジアは、小乗仏教の国です。)
いずれにしろ、ヒンドゥー教と仏教の両方が関わっている寺院であることは、間違いないようです。
ところで、仏教は、ヒンドゥー教の一派(ブッダ⇒ヴシュヌ神の化身したものの一つ)であるといわれています。
次に、タ・ブロームですが、ここは、自然の偉大さを実感する寺院です。
栄枯盛衰は、世の常ですが、クメール王朝も15世紀に滅亡し、その遺跡は、密林の中に埋もれていたのです。
現代になって、アンコール・ワットやアンコール・トムなど百を超える遺跡群が発見され、私達が見学できるように修復したようですが、タ・ブロームは、密林の雰囲気が十分に味わえる仏教寺院です。
次は、バンテアイ・スレイです。
この寺院は、アンコール遺跡群から東北へ約35キロ離れた場所に造られたヒンドゥー教の寺院で、967年に建てられたといわれております。
ここの特徴は、バラ砂岩という材料を使っているため遺跡が赤茶けていること、また、彫刻(浮き彫り)が精密で深く刻まれていることなどです。
寺院全体の印象としては、細長い敷地に小ぶりの大きさの岩石が並んでいる、と言う感じです。
さて、アンコール遺跡群の話から「アンコール・トム」に戻っていただきましょう。
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